はじめに

PADM(Porsche Active Drivetrain Mount)という部品を知っていますか?いわゆるポルシェのエンジンマウントです。

SNSで「PADM」が故障した…なんて投稿をよく見かけるくらい、PADMの故障はポルシェの車における定番の故障のようです。

うちの911 GT3RS(991.2)は、1年半の間に2度PADMが故障しました。
そのうち約8ヶ月間は事故による修理で乗れなかったので、実質的には約10ヶ月の間に2度の故障ということになります。

1度目の故障は、なんと納車当日。1度目の修理が終わってから、わずか約3,000kmで2度目の故障でした

2度目の修理が完了したので、このなんとも繊細なPADMについてまとめてみました。

基礎知識から、故障のきっかけ、修理にかかる金額や日数などをお伝えします。

PADMとは

PADMとは、車の剛性と快適さのバランスを調整するために設計されたシステムです。一般的に、乗用車の構造上の制約として、剛性を高めすぎると乗り心地が厳しくなり、逆に乗り心地を柔らかくしすぎるとハンドリングの反応性が低下します。

PADMは、これらの相反する要求を両立させるために、微小な鉄粒子を含む磁流变性流体で充填されたマウントを用いています。各マウントには二つの部屋があり、流体が上下の部屋間で通過できるように円形のスロットがあります。中央部にはドーナツ型の電磁石があり、これが流体の粘度を制御します。

PADMはスポーツクロノパッケージの一部となっていて、「スポーツプラスボタン」を使用してシステムをアクティブにすることができます​。GT3RSは「スポーツプラス」が設定されておらず、常時スポーツモードのようです。

エンジンの回転数が低いときには、流体が自由に流れ、快適な乗り心地になります。しかし、エンジンの回転数に基づく燃料マップにより、エンジン制御ユニット(ECU)が電磁石に到達する電圧を制御します。

エンジンの回転数が高いときには、電磁石の電圧も増えて、より強い磁場を作り出します。これにより、鉄粒子のチェーンが増加し、流体の粘度が減少します。そして最終的には、これらのチェーンがマウントを固形化させます。
これにより乗り心地は悪くなりますが、車の後部の剛性が増し、コーナリング時の反応性が向上します。

つまり、PADMは車の挙動と快適さのバランスを保つ役割を果たし、これが故障すると、ハンドリングや乗り心地に影響を与える可能性が出てくるのです。

PADM故障のきっかけ

PADMの故障は、環境温度が急激に低下したときにエラーが出る可能性があるようですが、この場合は走っていると解消されます。うちの場合は、走っても走ってもエラーが解消されなかったので、PADMそのものの故障でした。

1度目も2度目のときも、一般道を普通に走っていたときに突然「PADM故障」と表示されました。
思い当たるきっかけは全くありません

2度目の故障のときは、GT3RSと996の2台でお花見ツーリングしていたときだったので、印象に残っています。

この写真撮影の後、故障しました。

PADMが故障しても走行可能

すぐにPADMの修理を依頼しましたが、部品の到着までに時間がかかるので、故障したまま乗っていました。

正直なところ、PADMが故障しても乗り心地に変化は感じられませんでした。PADM正常時から足回りがとても硬いからでしょうか…?

なんとその状態のまま北海道一周にもチャレンジしましたが、問題ありませんでした。念の為、事前にポルシェセンターの方に長距離を走ってもよいのか尋ねましたが、止められることはありませんでした。

ポルシェGT3RSで夏の北海道一周ドライブ旅行に挑戦!

はじめに 北海道といえば、おいしいグルメ、壮大な自然、どこまでも続くまっすぐな道、色とりどりの花々、たくさんの温泉…何日あっても足りないくらい見どころたっぷりの…

PADM修理に必要な日数

PADM故障のエラー表示が出てすぐにポルシェセンターに連絡しましたが、部品は取り寄せになるのですぐには修理できませんでした。
エラー表示を出ないようにすることはできますが、特に不便もないのでエラー表示が出たまま乗っていました。

部品を発注してもらってから、ポルシェセンターに届くまでに約3ヶ月かかりました。待てども待てども連絡が来ないので、もう忘れられたかと思うほどです。

修理には2週間はかかると思ってほしいと言われましたが、実際にはPADMの修理は1週間で完了しました

PADM修理に必要な金額

うちのGT3RSは、ポルシェの延長保証(24万円 / 2年間)に入っていたので、PADMの修理は無料でした。

PADMを左右とも交換すると、50〜60万円かかると聞きました。2度のPADM修理で100万円以上かかっているので、十分すぎるくらい延長保証の元がとれました。

おわりに

PADMの故障は、金銭的にはもちろん精神的にも大きな負担となります。

SNSを見ている限りでは、991、981、982(718)型で故障が多いようです。992型では、PADMが改良されているようで、故障の話はまだ聞いたことがありません。
中には故障をきっかけに、PADMから通常のエンジンマウントに交換する方もおられるようですね。

うちの場合は、延長保証のおかげで無料で修理していただけましたが、こんなに簡単に故障するものに毎回何十万も…となると、かなり厳しいものがあります。入れる方は、延長保証に入っておくことを強くおすすめします。

この記事を読まれている方の中には、実際にPADMが故障してしまって検索された方もあるかもしれないと思うと複雑な気分ですが、何かの参考になると幸いです。

この記事を読んでくださって、ありがとうございました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です